事業再生での私の課題
私の仕事の30%くらいは、中小企業の事業再生です。事業再生とは、業績不振や債務超過などに陥っている企業の事業を再建し、経営を健全化することです。
今回は、事業再生の難しさについてお伝えします。
ひとくくりに事業再生と言いましても、2つのフェーズに分けることができます。1つ目は赤字から黒字にするフェーズ。2つ目は新たな成長をはかるフェーズ。一般的には赤字から黒字化するフェーズを事業再生ということが多いですが、私は、新たな成長をはかるところまでを目指しています。
-
赤字を黒字にする段階
赤字から黒字にするフェーズは、これまで経験してきており、ある程度の手法は確立できております。赤字の中小企業の場合、管理不全、少ない活動量、業務のタコツボ化になっていることが共通しています。そのため、経営改善は業務改善で現場の負荷を減らしながら各活動量を増やしていき、それらを管理していくという流れで進めていきます。一部、例外はありますが、このような流れで、多くの場合は黒字化することができます。
さらに、このフェーズでは、経営者自身も危機感が高まっていますので、経営改善のスピードも上がります。そのため、短期的に成果が出るのです。当然ですが、実行のスピードが遅い、もしくは、そもそも実行をしない企業では黒字化しません。そこをクライアント様と共有できないと再生は難しいです。
この段階での留意点は、黒字化した次の年です。黒字化すると、経営者と従業員にそれぞれ異なる変化が起こります。経営者は、やる気満々になるか気が緩み、従業員は、改善に疲れてきます。
経営者がやる気満々になると、疲れている従業員との距離が遠くなります。その結果、退職が増え、つまずく結果になります。ですので、私は黒字化した次の年は、個人面談など従業員に寄り添うような施策を行い、離職をできるだけ少なくするような手を打っています。
従業員が疲れてくると、以前の仕事のやり方に戻ろうとする慣性が働きます。そのタイミングで経営者の気が緩むと、赤字のときの仕事のやり方に戻ってしまいます。
新たな成長の段階
新たな成長基調とは、既存の仕事のやり方の延長線上でない、新しい仕事のやり方をすることです。明確に定義をすることはできませんが、新しい事業を始めるといった大きなことから、新しい業界の顧客開拓、業務プロセスを一新するなどです。
新しい仕事のやり方に変えるには、「考える」→「実行する」→「検証する」というサイクルを回す必要があります。しかも、新しい取り組みですから成果につながりにくく、失敗の確率も高いです。成果につながらなくても、失敗しても、実行した結果をきちんと検証し、次の策を考え実行していかなければいけません。しかし、社員の心は折れがちになるので、次の一歩が難しく、いつの間にか活動はされなくなってしまいます。
これを外部から支援するのは非常に難しいことです。その理由は訪問件数の少なさに起因します。月1~2回の訪問では「考える」→「実行する」→「検証する」というプロセスを1、2回しか回すことができないからです。もっとこのサイクルを数多く回さないと、成果にたどり着くことはできません。
実はこれが、今、私の課題です。Webやクラウドサービスを使いながら、新たな成長にまでつなげるコンサルティングサービスを提供できるよう、研究中のテーマです。進展がありましたら、ご紹介します。