「しつけ」は現場との根競べ

5Sの最後のSは、「しつけ(躾)」(Shitsuke)です。

 

しつけとは、習慣化することだと私は考えています。

使ったら元の場所に戻すことが「当たり前」になることです。

 

 

  • 1.時間がかかることを覚悟する

 

何事も、「当たり前」にするには、非常に時間がかかります。

「タクシー業界の風雲児」と呼ばれたエムケイ創業者の青木定雄氏が述懐しています。

社員が出社し「おはようございます」の挨拶ができるようになるまで10年を要したと。

 

それくらいの時間がかかることを覚悟して、粘り強く取り組む必要があります。

しつけは、経営者・管理者と、現場を担う従業員との「根競べ」なのです。

 

しつけ

 

2.ルールを再確認

 

習慣化(即ち、しつけ)には、ルールが重要となります。

習慣化のために、最初に確認しなければならないのは、ルールです。

 

ルールが明確になっているか・現実的であるか、を確認する必要があります。

 

具体的には、

・表示のなどの、モノを置くルール

・モノを置いてはいけない場所のルール

・モノを廃棄するルール

など、整理整頓の結果できたルールが、明確で伝わる状態になっているかを確認します。

 

そして、それら一つひとつが、現実的で守れるルールかどうかを確認します。

ルールが複雑だったり、数が多かったり、面倒な手続きを要したりしては守られません。

その場合は現実的なルールに変更するのです。

 

 

3.常に発信し続ける

 

習慣化は、経営者・管理者と、現場を担う従業員との「根競べ」なのです。

 

「5Sは大事だ」

「5Sをやっているか」

 

習慣化するには、経営者や管理職が、常にこうした発信をしていくことが重要です。

発信は次の5つの方法で行うと良いでしょう。

 

 

  • 口頭

朝礼や会議の場で、口癖のように発信します。

 

 

  • 文書

大きな組織の場合、口頭だけでなく、文書などで伝える必要もあるでしょう。

 

 

  • 人事・組織

従業員は、人事や組織の在り方に、会社の本気度を見ています。

本気度を示すには、5Sの推進者にエース級の人材を登用することが望ましいです。

 

 

  • 予算

従業員が見ているのは、人事だけではありません。予算も見ています。

5Sで必要になる資材の予算計上や購入申立は、然るべく決裁する。

そうしなければ「5Sなんか大事ではないのだ」と思われてしまいます。

 

 

  • 日常の言動

最も重要なのが、日常の言動です。

「5Sが大事」と言い聞かせ続けることが重要です。

無印良品を復活させた良品計画・松井忠三名誉顧問のエピソードをご存知でしょうか。

ノウハウを積み重ねた同社の店舗運営マニュアル「MUJIGRAM」は有名です。

松井氏は事あるごとに「MUJIGRAMに入れたか、確認したか」と尋ねたといいます。

 

習慣化は時間のかかることです。

それでも、習慣化ができてしまえば、長期的な競争力の確立につながります。

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