働き方改革が企業の生死を決める
1.企業を取り巻く環境変化
企業を取り巻く環境変化のうちで、確度の高い環境変化とは人口の推移です。企業を取り巻く環境変化は、PEST分析というフレームワークを使って要因が抽出されますが、抽出される要因の中でも人口は予想しやすい環境変化となります。
今後の日本は労働人口の減少が起こり、労働力不足が起こります。労働人口(15歳~65歳)は、2013年に8,000万人を下回り、2015年には7,683万人となり、2025年には7,085万人、2,035年には6,343万人になると予想されています。このことから企業は人手不足に陥ることが予想されています。
2.生き残る企業とは
企業経営はダーウィンの進化論にたとえられ、強い企業が生き残るのではなく、環境変化にあわせて進化できる企業が生き残ると言われています。つまり、人口減という環境変化に適応できない企業は自然淘汰されていくでしょう。
実際に私のクライアント先でも2年前くらいから予兆は起こっています。それはHP経由で新しい仕事の見積り依頼が増加しているのです。 なぜ、増えているかをヒアリングすると、取引先から人材不足で増産の受注を断られるとの意見が多いとのことでした。
この傾向は統計データにも変化として現れつつあります。それは人手不足で倒産する企業が増えているのです。これは東京商工リサーチの調査にもあるように、人手不足が原因の倒産数が増え、さらにはその倒産する企業の規模も大きくなっているとのことです。
このようなことから、人の確保と有効活用が企業の生き残りにつながると私は考えます。
3.企業が生き残るための3つの方向性
労働人口が減少する中で、企業が人材を確保するために必須の方向性は、
①人が少なくても回るような仕事のやり方に変える
②人が集まる企業にする
③人が辞めない企業にする
の3点です。
人が少なくても回る企業にするには、業務のやり方を徹底的に見直すことがスタートになります。そして、本当に価値を創り出している部署に人を投入するのです。たとえば、本社部門などの管理間接部門については最小限の人材で運営し、実際にモノを作ったり、サービスを提供する現場に人を増やしていくのです。また、現場の業務についても仕事を見直すことが求められます。
人が集まる企業にするのは大変です。それは人の取り合いの競争が始まるからです。これまでは労働力の方が過剰でしたので、賃金はより安く、必要な時間帯に人を雇うことができました。しかし、今後は賃金の高く、従業員の都合の良い条件でないと人は集まりません。また、これは他の企業との競争になりますので、高い賃金を払うための原資も必要となり、事業自体の収益力向上をはからないと、人は集まるが赤字ということになりかねません。つまり、人件費を下げずに事業の収益力を一層強化していかなければいけません。
人が辞めない会社には、さまざまな要素がありますが、①自分が大切にされていると社員が感じられる、②仕事がおもしろいと感じられることが大切だと考えています。それはここ数年、離職率改善のコンサルティングを依頼され、調査した結果です。やめる可能性の高い時期は2つあります。1つ目は入社直後の仕事や職場に慣れる前です。仕事や職場になれるまでは、従業員はストレスを感じやすくなります。その間、職場のメンバーから適切なフォローがないと自分に合わないと感じ、辞めてしまうのです。2つ目は職場に慣れた後です。仕事が面白く感じるように働きかけ、マンネリを防ぐことが大切になります。
今回の記事では、働き方改革の重要性についてお伝えしました。次回は、なぜ、働き方改革がうまくいかないかについてお伝えします。